刀ステ義伝感想【ネタバレあり】
初日と二日目を観ました。
2階席と1階席前方で。
初見の感想は、(…シブみたい…)です。
※シブ=pixivのこと。つまりは同人で見たなぁ、の意
ストーリー展開としては、可もなく不可もなく、といった印象です。
歴史に詳しいと、いろいろ突っ込みたくなるのですが(みほとせも突っ込みたい)、エンタメですしね…
舞台作品としての評価は、殺陣が好きかどうか、タイムリープ物が苦手でないかどうか、で分かれると思います。
あと刀ステは人間パートが長めなので、そこが許容できるかどうか。
本能寺もそうだったので、これは刀ステの色なのだと思います。
OPEDで割と踊ってるので、ふぁ?!ってなりました。嫌いとかではなく、びっくりした。
歌が特別下手な人はいないかな。ワンフレーズずつしか歌わないから、そこまで気にならないのもあるかも。
殺陣師さんが代わられたので、殺陣のカラーが変わったように思います。
本能寺より、ちょっとコミカルに感じられました。
私のおすすめは、貞ちゃん!かわいい!くるくる~
あと、鶴丸の「後ろだぜ」→「遅い遅い!」のところ。敵さんが一斉に振り向くところが好きです。
三日月の「じじいは眠くなるぞ?」が格好いい。余裕かましてます。すごく強いんだろうな、と思わせられます。
黒甲冑さん、強い。武器は大太刀。
確か、大太刀は納刀が難しいから使えない、って演出さんが仰っていたのでしたっけ。抜き身の刀のみ持っています。長い。
鶴さん殺陣の量が半端ない。お体ご自愛下さい。
人間パートの殺陣もそこそこ分量あって、申し訳ないけどそこは削っても良かったよね…と思います。リープするところは、最後政宗切るところだけとか。やりようはあったと思うので。
鶴さんのCGのとこ、折れたかと思った。
バレみないで観劇行って!って意見の方は、たぶん折れたと思ったら折れてなかった!取り込まれたと思ったら取り込まれてなかった!という驚きを体験してほしいのだと思います。
取り込まれた方が、取り込んだ方の動きを止めて倒す、っていうのは本当に手垢にまみれて使い尽くされた倒し方だとは思いました。
そういうところが本当に同人臭っていうかね…
小夜ちゃんヒロインの少女漫画が展開されていました。
幼馴染歌仙と学級委員山姥切からいろいろと気にされてる、ちょっと内気だけど優しい小夜。二人のことは好きだけど、歌仙と喧嘩してる隣のクラスの大倶利伽羅が気になっていて…?!
みたいな。
ただし腐妄想を掻き立てられる感じではないです。
お小夜大好き歌仙さんがめちゃくちゃチョロくて最高に可愛いです。
山姥切が成長しすぎてて(内面の話です)、あやうく解釈違いでダメです、になるところでした。
刀ステのまんばちゃんは「俺なんて…」を乗り越えているようです。
小夜ちゃんにどう話しかけるかで悩んでいる場面の内心の声は面白かったです。シブで見たような気がするけど。
光忠’sキッチン、アシスタントの山姥切~割烹着とともに~ にほぼ持っていかれているような気がします。みっちゃんファイト!
ラーメン光忠、面白いんだけど、上手で本筋進行中に面白いことされてると、そっち見ちゃうから…
本能寺の紅白戦説明のアレ再び、にならないといいけれど。今回叱ってくれる人いないし。
政宗死ぬ場面で一番泣いてる人が多かったです。私は舞台作品に関しては涙腺が固いので、ひたすら翔さん(政宗の中の人)上手いなぁと思っていました。
刀ステの三日月は、本当に『特別』なのだろうと思います。伏線張りまくり。刀ステが続く限り出続けそうです。
で、三日月をみて思ったのですが、舞台としての付加価値というか、役者が演じる意味を考えさせられました。役者=人間という意味ではなくて、その役者さん(この場合は鈴木さん)が演じる意味、です。
原作キャラに比べて身長が低いとか(なぜか高いに関しては言われない)、声が違うとか、そもそも顔が…とか、原作ファンからしたらいろいろ不満あると思うんです。
でも、原作キャラと全く同じでいいなら、原作やってればいいんですよね。
舞台では、脚本でまず解釈が入り、役者さんの解釈が入り、演出さんの解釈が入り(今回は脚本・演出は同じ人ですが)、するので、解釈違いはどうしても起こり得る。
そこでどれだけ観客に対して説得力のあるキャラクターを提示できるか。
なるべく原作に寄せる、というのはもちろん一つの答えではあるけれど、解釈違ってる場合は逆になんでそっちいった?となりそう。
いくつも考えられる答えの中の一つを提示する、その答えに説得力を持たせる、というのが役者および演出家の腕なのかなと思います。
私の本丸の三日月は、もっとのんびりしていて、人の心配はあまりせず、少なくとも聞かれない限りは「どうした?」なんて声をかけたりしない。それなりに本丸生活を楽しんでいて、主に言われた仕事をこなしたら、あとはおやつ食べて縁側で船漕いでます。
刀ステの三日月はもっと心配性だし世話焼きだし、お茶とおやつは好きそうだけど、空き時間は散歩と称して本丸の刀たちの生活を見て回っていそう。そして圧倒的ラスボス感…!
自分の解釈とは違うけど、これが刀ステにおいては正解なのだ、こういう三日月もありだ、と思います。というか、そう思わせてくれてありがとう、という感じです。
三日月を例に挙げましたけど、他のキャラクター達も、です。
まれに、そうそう!それだよ!!!ってくらい自分の解釈通りだと感動しますね。でも違いを楽しむのも良いのではないかなと思います。とうらぶは、特にそうかな。運営がそういう形を目指しているようなので。
あ、新キャスの話してない…!
みなさんそのものでしたよ!期待を裏切らない出来だと思います。
歌仙は、もうちょっと緩めてもいいかな。ほんの少しだけ硬すぎる感じがしたので。でも、緩まない方がいいという方もおられるでしょうから、好みの問題ですね。というか印象の問題なので、この文章では伝わらない気がするし、ライビュなり配信なり観たら、硬さ緩和されてた!ってなるかもしれないし、変わってなくてもこの位が正解!ってなるかも。
基本的には申し分ないです。今のままでも十分歌仙です。
殺陣のときにマントの内側がひらひらするの素敵。
大倶利伽羅、ミュは大分慣れ合っていましたが(村正のせい)、ステはツンツンしてます。慣れ合わない!
最後ちょこっとデレた時の他キャラの反応が楽しかったです。
色はもう少し黒くして欲しいです。
貞ちゃん、賑やかし要員だけど、短刀なのに精神が大人で良いです。
原作ゲームでは全く興味沸かなかったけど、舞台観てたら自分の立ち位置をしっかり把握していて、周りのことも見てるし、気遣えるし、でも楽しんで生きてる感じで、いい男でした。
賛否あるかと思いますが、私は楽しかったです。
Ye-夜 のこと
観劇感想を書こう!
1回しか観られなかったので、細かいところ記憶違いがあるかも知れません。
4月の観劇感想って、ひどいな自分…
公開されていたTOP画像や、あらすじが興味を惹かれるものだったからか、出演者のファンじゃない若手俳優オタ界隈の人もかなり行きたがっていましたね。
チケット結構取りにくかったように思います。
キャストの割に、公演日数短く、箱小さい。
観劇前は、日数増やすか箱大きくするかして欲しいと思っていました。
が、この内容で公演回数増やすのは役者への負担が大きい。
箱が小さいのは、アングラ感を出したかったのではないかなぁと思います。
内容的にも、大きい箱でやる内容じゃない。400すら大きすぎる。
だから、とってもチケット取りにくかったけれど、これが正解なのだろうと。
ただまあ、DVDは出しても良かったんじゃないでしょうかね?
記録映像の全景のみ3000円とかでいいから。
中国の地方都市。その寂れた裏路地に毎夜のように一人立ち、出会う客に身体を与える事で日々の糧を得ている水仙(スイシェン)。いつものように過ごす《夜》だったはずが、一人の青年と一人の少女との出会いが、その《夜》を変えていく。ゲイの自分に後ろめたさを感じながら水仙と《夜》の深い世界に溺れていく青年・夜来香(イエライシャン)。娼婦として水仙と同じショバに立つことに決めた薔薇(チアンウェイ)。
その出会いから紡がれる“自分を否定し、誰ともつながれない若者たちが、それでも、つながりを求めて生きようとする中で自分を見つめ直していく”物語。自分の気持ちに素直になれない、恋に臆病な若者たちに訪れる結末は・・・
で、感想。
題材としては、人の弱さ・人との関わり・恋 といったところでしょうか。
水仙と夜来香
水仙と薔薇
夜来香と薔薇
そこに薔薇の客で夜来香の会社の先輩である刺が絡む
水仙と夜来香は『両片思い』
考え方も社会への関わり方も正反対、同じなのは親に対して自分の後ろめたさ(夜来香はゲイであること、水仙は売春していること)を隠していること。
なぜ互いに惹かれあったのか、作中では語られないので観客が想像するしかないのだけど、恋に落ちる時は一瞬だし、理由はいくらでも言えるけど、後付けでしかない。
恋は思案の外
ってことなのかなぁ、と作中での水仙の逃げぶりを見ていて思いました。
水仙は理性では「夜来香と関わると傷つく」ってわかってる。こんなはずじゃなかった、ってずっと思ってる。だから、夜来香から逃げる。
でも恋してるので、気にかかるし、つい見てしまうし、構ってしまう。
最後の場面で出ていかなかったのを見て、私は「ああ、水仙はいつかきっと酷く傷つくだろうな」と思いました。しかもそう遠くない未来に。
でも、例えそうと分かっていても抵抗できないよね。好きな人が自分を求めてくれている、その少しの、でも絶対的な幸せのために膨大な苦しみという犠牲を払うと決めたのでしょう。
その覚悟が、哀しくて美しいなぁと思いました。
夜来香は、本当に普通。まっすぐで、社会の常識を自分の中に飼ってる。
そしてその常識で水仙を傷つけているのだけど、彼は自分の感情でいっぱいいっぱいになっていて、それに気付けない。
自分が正しいとどこかで思っているので、正しさで容赦なくひとを傷つける。
そしてそのことに無自覚。若い。まぶしい。
彼は水仙が好きで好きでたまらなくて、とにかく一緒にいたい。
未来をわざと見ないようにしているのか、単に今しか見えないのか…
本当に若い。若いとしか言えない。社会人の設定だけど、高校生くらいのメンタリティだなと思います。
いい子なんだけどね。ゲイじゃなければ28歳くらいで3~5歳下のほどほどに可愛くて大変気立ての良い嫁を貰って、子供2人作って郊外にローンで家を買って…というお手本みたいな人生歩みそうなタイプ。
薔薇ちゃん!「Oh!Yes!」に吹き出しそうになりましたwww
テクあるって言ってたのに!ひどい!!!!!www
水仙も夜来香も薔薇ちゃんと一緒になった方が幸せになれるのに、どうしてわざわざ傷つくのか。恋だからか。そうか。
でも、恋ではないけど、限りなく近い友情でもいいと思うんだけどなぁ。
彼女は、愛に飢えてる子供。彼女が欲しいのは『恋』ではなく『愛』だと思う。
彼女だけが没交渉中とはいえ、親に自分の現状を正しく伝えている。
あ、『親』は自分の心の鏡なのか!
水仙も夜来香もどこか自分を後ろめたく思っていて、だから親に対して、親(自分の理想)が欲している虚像を演じている。
薔薇だけはそのままの自分を受け入れているのだな。
自分の現況の原因が自分自身にあるわけではない、と思っているからこその強さかもしれない。
大変いい子なので、幸せになってほしい。愛を与えられる人に会えるといいな。
この話のスパイス(激辛)の刺さん
上司(おそらく社長クラス、もしかすると大口取引先重役かも)の娘と結婚して逆玉に乗った人。
しかし嫁はわがままで家事が壊滅的
嫁に対しては文句が言えないので、溜まった鬱憤を娼婦を酷く扱うことで晴らしているという…クズです。
暗黒面の刺さんは娼婦たち(水仙や薔薇)の前でしか出しておらず、家庭でも会社でもよき夫・よき先輩として生きてる。
なので、会社の後輩である夜来香はホワイト刺さんしか知らなかったから、水仙に暴力を振るう刺さんに対して、まっすぐ正論で「僕たちは先輩の奥さんじゃありません」と。
そうだね、この物語は水仙と夜来香(薔薇もかな?)の物語だから、それでいい。
でも、刺だってそんなこと分かってる訳ですよ。でも止められない。
弱さを自分で認められない、一番近い人に弱さを曝け出せない、それはすごく辛いことだろうと思います。
その社会の一員として正しくあれ、という圧力は容赦なく心を押しつぶしにかかってきて、受け止めきれない部分が例えば体調不良だったり、うつ病だったりに発現したりする。
その発現の仕方が刺の場合は他人への暴力だった訳ですから、娼婦という逃げ場がなくなった刺のストレスがどこへ行くのか…奥さん殺してしまいそう。
どこにも救いがなくて、本当にこれから人生真っ暗だな、と思いました。
唯一の救いの道は、自分の弱さを受け入れること、その弱さを奥さんに見せることなのだけれど、刺はそれができないから、娼婦殴ってる訳です。
まあ、どんな理由があろうとも暴力は認められないし、自分が選んだ道といえばそれまでですが。
とにかく、最後の水仙と夜来香が寄り添う場面が最高に美しい。
ハッピーエンドのようで、これからの悲劇を予感させるような。
ああ、もう一度観たいな。再演してくれないかな…